他人事とは片付けられない、パワハラとコミュニケーション不足の関係

日本のお茶の間に、笑いを届けてきた会社が、一部社員の不祥事を発端に、パワハラ騒動へと発展している。

社長の会見を聞くと、パワハラが発生する場合に見られる典型的な状況が浮かび上がる。
「会見をしたら全員クビだ、俺にはその力がある」と言ったのは事実か、という質問に、
「そのつもりはなかった。」という返答。

 

立場の優位性を誤用した発言

大抵、パワハラで問題になる時は、当の上司は「そんなつもりではなかった」のだ。

上司は親しみを込めたつもりの表現であっても、きつい言葉であればあるほど、部下が重く受け止めるのは当然のことであり、真面目な社員ほど、真摯に受け止めるはずである。
だからこそ、上司が部下に事実確認を行なう、適切な指導をする、といった場面では、いかに感情をコントロールできるかが鍵となる。
感情に任せた発言は、瞬く間に、部下を必要以上に追い込み、精神的苦痛を与え、後になって「パワハラ」と言われても仕方な状況へと発展する。

そうならないために大切なのは有意義な話し合いができるコミュニケーションスキルだ。

 

上司に求められるコミュニケーションスキル

深刻な問題であれば、より一層、相手(部下)の置かれている立場、状況、感情がどのようなものかを考え、敏感に察し、誤解を招かない仕方で表現するスキルが求められる。
また、話し合いが進む中で、誤解やすれ違いを生まないためには、互いの理解をすり合わせていく丁寧さも求められる。そこに労を惜しんではならない。それが省かれると同時に誤解が生じる可能性が出てきてしまう。
発言には一つ一つに細やかな注意を払うべきであり、自分の発言は自分が思う以上に大きな影響を与えることを常に自覚した上で、発言する必要がある。

そのように、感情を自制して穏やかに話しを進めることで初めて、相手は、『自分の話を真剣に聞いてもらえている、きちんと分かろうとしてくれている』ということを感じ取ることができる。

もちろん、これは口で言うほど簡単なことではない。上司が部下に対してだけでなく、部下から上司、同僚同士、家族の中でも必要な意識だ。難しいとしても、私たち皆が、努力して身につけるべきスキルであることは言うまでもない。

 

コミュニケーション不足の体質がもたらす結果

会見で何度も耳にした「意思疎通ができていなかった」、「コミュニケーション不足」という言葉。これは、今に始まったことではなく、長年の体質と言えるだろう。
普段から、忌憚なく自分たちの意見を自由に発言し、それを聞いてもらえる空気感があったのなら、大変な時や失敗した時こそ、助けになってくれるはず、という確信を持って話し合うことができるはずなのだ。

逆に、これまでずっと、「話しても通じない」、「どうせ聞いてもらえない」という暗黙の空気が流れていれば、今回も「やっぱり」、「もうこれ以上話して聞いてもらえるはずがない」という気持ちになってしまうのは当然の結果だろう。

管理職、ひいては会社代表のコミュニケーション能力が、相当程度会社の体質を左右する、と言っても過言ではないだろう。
スムーズなコミュニケーション、天気の話だけで終わらない、心の通ったコミュニケーションは、一夜にして成るものではない。継続的な日々の鍛錬が求められる。

このような実態は、決して他人事ではない。どの会社にも、家庭にも、コミュニティにも生じる可能性は十分にあり、同じ「コミュニケーション不足」という体質の中で無数の人が長年苦しんできた。

 

パワハラ対策・・・それ以上に

今回は、笑いを届ける会社で起きた問題だっただけに、笑いに救われてきた人も、暗い現実に引き戻され、残念な気持ちで一杯になったのではないだろうか。

本来、人に幸せを届けるためには、届ける本人が、そしてその会社で働く社員が幸せでなければならない。働きやすい職場環境を構築することの大切さを、今一度見直す機会とし、本当に幸せな笑いを届けてもらいたいものだ。

今年5月、女性活躍・ハラスメント規制法が成立し、来年2020年4月から、大企業でパワハラ対策の義務化が施行される。しかし、罰則を伴う禁止規定がないため、どこまで実益があるか不明瞭な点が残る。ただ、「法律ができたから」ではなく、会社が、社員一人一人の福祉を優先して考える結果として、パワハラがなくなっていって欲しいと願ってやまない。

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