思考の変化 ~ハラスメント予防に効果的~

私たちが普段、意識しているかいないかに関わらず、常に影響されているのは、自分の考え方、思考と言われています。

ABC理論とは?

アメリカの心理学者アルバート・エリスが提唱したABC理論には、とても納得がいきます。

ABC理論とは、
ある出来事から感情が発生するのではなく、その間にある思考、つまり受け取り方によって感情は変わってくる、という考え方です。

ABCとは、これらの単語の頭文字から取られています。
A:Activating event(起こっている出来事)→置かれている状況
B:Belief(信念)→考え方、思考パターン
C:Consequence(結果)→感情、行動

簡単に置き換えてみるなら、こうなります。

【例】
挨拶したのにスルーされた(A:状況)

無視されたに違いない。挨拶されたら、あちらも挨拶するべきなのに。(B:思考、信念)

あの人にはもう挨拶しないでおこう(C:感情、行動)

このように、出来事(A)があって結果(C)があるのではなく、間に思考(B)があって結果(C)が生じる、ということです。

思考をコントロール?

もう一人、アメリカの心理学者ウエイン・W・ダイアーの次の考え方もよく知られています。
「自分自身の思考をコントロールでき、さらにその思考から感情が生まれるとすれば、
感情に先立つ思考に働きかけることによって感情をコントロールできるはずである。」
つまり、思考を経ないところに感情はなく、感情は思考によってコントロールできる、ということです。

同じ状況でもう一度考えてみると・・・

【例】
挨拶したのにスルーされた(A:状況)

声が小さくて聞こえなかったのかも。聞こえたら挨拶を返してくれるはずだから。(B:思考、信念)

次はもう少し大きい声で挨拶してみよう(C:感情、行動)

同じ状況(A)なのに、結果(C)は全く正反対のものとなります。
違いはどこにあるかというと、言うまでもなく、それは思考・考え方(B)にあります。

つまり、思考に働きかけ、受け取り方を変化させることができるなら、積極的な感情、行動につなげていくことができるわけです。

思考とハラスメントとの関係

ここで考えたいのが、職場でのハラスメント問題です。
ハラスメントは、相手の受け取り方、感じ方が重要なカギを握っています。
自分にそのつもりがなくても、相手が「不快」と感じた言動はハラスメントとして該当する可能性が高まります。

最初の例を踏まえると、
挨拶が返ってこなかった。無視された。→モラハラでは!?となってしまいます。
モラハラかもしれない、と感じた本人は、ストレスを抱えることになり、当然気持ちは重くなり、仕事に集中するのが難しくなってしまいます。

一方、聞こえなかっただけかもしれない、とポディシブ思考で受け取るなら、ハラスメント問題に直結する可能性はかなり低くなるでしょう。(もちろん相手が悪意を持って無視し続けている状況であれば話は別です)
前向きな気持ちでいられるため、不安や心配などを抱えることなく、仕事にも集中して取り組むことができます。

もし、こんなポジティブ思考の従業員ばかりなら、ハラスメント問題に悩まされることのない健全な職場環境を実現できるはずです。
社内から、「これはハラスメントでは?」という訴えが上がらなければ、あるいは減少すれば、管理者側としても、ハラスメント問題解決のための、ヒアリングや調査などに費やす時間とエネルギーを最小限に留めることができます。

思考の変化は大きな変化の第一歩。
そのために、企業としてできること、考えてみませんか?

次号で、思考の変化を生む教育の大切さについて考えてみます。

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